Stanford MS&E 435 第 3 回

アプールヴ・アグラワル / Apoorv Agrawal · 00:28 「これは宇宙計画より大きく、 マンハッタン計画より大きく、 米国の国防予算に次ぐ規模」

Stanford 大学のゼミ MS&E 435 第 3 回 (2026/04/22 公開, 約 50 分)。 日本語字幕付き

1 ギガワットの AI データセンターを建てるのに 600 億ドル (≒ 9 兆円) かかる — マンハッタン計画 2 個分。 そしてハイパースケーラー 5 社は今、 合計 6,500 億ドル (≒ 100 兆円) を AI データセンター建設に注ぎ込んでいる。 アビリーン (テキサス州、 人口 12 万人) の 1 サイトでは、 毎日 9,000 人の建設労働者が働いている。

語るのはゲストの チェイス・ロックミラー (Chase Lochmiller) — クルーソー (Crusoe) という会社の創業 CEO で、 OpenAI と Oracle が共同で進める「Project Stargate」 を実際に建てている人物。 余談だが、 7 大陸最高峰のうちエベレストを含む 5 つを登った登山家でもある。 進行は アプールヴ・アグラワル (Apoorv Agrawal) — Stanford GSB 講師で、 Altimeter Capital のパートナー (OpenAI へ巨額投資しているベンチャーキャピタリスト)。

中心の比喩はチェイスの「電子からトークンへ (Electrons to Tokens)」: AI 工場の入り口に「電気」 を入れると、 出口から「トークン (= AI の文章 1 単位)」 が出てくる変換装置。 この 1 棟に 9 兆円かかる、 という話。

過去 200 年、 人類が労働力を増やす唯一の方法は出生率を上げることだった。 子供を産んで → 学校に通わせて → 育てて → 働けるようになるまで 20 年。 でも今、 歴史上初めて、 データセンター 1 棟を建てるだけで「デジタル労働力」 が即座に増やせる時代が来ている。 100 兆円の CapEx が世界で同時に動いている本当の理由は、 ここにある。

個人的に面白かった点

真のボトルネックは GPU ではなく「電気工と配管工」 (24:30)

チェイス曰く、 4 年前は GPU 不足、 でも今の最大ボトルネックは建設労働者。 1 ギガワット分の建設労働費は 47 億ドル (≒ 7,000 億円)。 ガスタービン価格も 1 メガワット 100 万 → 300 万ドルに 3 倍化。「チップは買えるが、 配管工は買えない」 という制約が AI の進化速度を物理的に決めている。

アビリーンで電気代が「マイナス」 だった (10:30)

西テキサスは風と太陽が強く、 政府の生産税額控除で再生エネルギーが過剰投資されていたが、 送電網の容量が足りず「買い手がいなくて電気代がマイナス」 状態だった。 そこにクルーソーが建てたのが世界最大級の AI コンピューティングキャンパス。 結果として 1 ギガワット分のデンバー市規模の電力を、 1 社のチップに集中投入している。

H100 の価格は発売 3 年経って「上がっている」 (33:00)

通常チップは新世代が出れば旧世代の価値は下落する。 でもエージェント時代に入って需要爆発、 H100 のスポット価格が発売時を超えた。 上場企業の標準減価償却は 5 年だが、 チェイスの現場感覚では「6 年以上、 もっと長く使える可能性が高い」。「次世代が出れば旧世代は無価値」 という IT 業界の常識が、 AI 時代では崩れている。

動画の構成

出典

Class #3 | MS&E 435: Economics of the AI Supercycle Stanford University Spring '26 Apoorv Agrawal